連休の初日となった4月28日(日)、今年度最初の観察会が池田市五月山北麓周辺で行われました。
午前9時30分に阪急池田駅の阪急バス西ターミナルに集合。伏尾台方面行きのバスに乗り、約5分で木部バス停に到着しました。ここから天神宮の鳥居の所まで移動し、本日、案内・ご指導をいただく地元の谷本充甫さんから、観察される植物やコースについて説明がありました。池田市内で以前に生育が確認されているが、現在では見当たらない植物の一覧を配布していただき、これらにも注意しながら観察を進めることになりました。
まず、鳥居近くの人家の周りに生育しているキケマンを観察しました。池田・箕面周辺でも大変少なくなりました。
鳥居の横にある大ケヤキの雄姿を写真に収めてから、山裾に沿った道を行きました。このあたりは古くからの植木床で、いろいろな木が植栽されています。チョウジガマズミやフジが満開で、ヒトツバタゴが蕾を付けていました。民家の石垣には、ツタバウンランが可愛い花を咲かせていました。田植え前の田んぼには、ノヂシャ、オオカワヂシャ、コメツブツメクサなどがたくさん花を咲かせています。スズメノテッポウとセトガヤが一緒に見られ、その違いを比較しました。
細河小学校で小休止の後、山の方へと歩を進めました。山からの水が流れてくる側溝壁には、赤味を帯びたイヌカタヒバがびっしりと生えています。道端にはオドリコソウが見られます。白い花から薄ピンクの花まで、花の色にも違いがあります。林縁にはベニシダ、オオベニシダ、オクマワラビ、ギフベニシダ、ハカタシダなどのシダ類や、タチツボスミレ、ツボスミレ、シャガ、シラコスゲ、ニシノホンモンジスゲなどが見られますが、ここもシカの食害が顕著で、林床の植物は減っています。朝日を受けて咲くクサイチゴの花がひときわ目立ちます。
雑木林の小道に足を踏み入れると、明るい林内にモチツツジ、コバノガマズミなどが開花しており、テンダイウヤクも見られました。見上げると、カスミザクラが満開でした。ここは地元の方々が定期的に手入れをし、林内が明るく保たれているために、ツツジ類やシハイスミレなどがたくさん見られます。ミヤコツツジも見られるとのことでしたが、開花は確認できませんでした。
山道を抜け、東山町の集落に入りました。石垣にはキランソウが紫色の花をいっぱい咲かせ、チャセンシダやノキシノブが着生しています。道の両側に、ナツグミの変種トウグミが植えられ、クリーム色の花を咲かせていました。田んぼの小道には、ウマノアシガタ、ノアザミ、カンサイタンポポ、オヘビイチゴ、ムラサキサギゴケなどの花が続きます。
農道に腰をおろし、抜けるような青空のもと、新緑の五月山を眺めながら昼食を摂りました。苗床のツツジ類の花は絵にかいたような美しさです。
午後1時10分に出発、しばらくは狭い農道に沿って植物を観察しながら進みました。水際には、カサスゲ、イブキシダ、シケシダなどが観察され、畦にはスミレが美しく開花していました。林縁に、キンランが1株、日を受けて鮮やかに開花していました。少なくなった貴重なラン科植物です。フジの花が垂れさがっており、真っ青な空を背景に写真を撮りました。栽培のオオデマリ、ミツバツチグリ、ゲジゲジシダ、アオスゲ、モエギスゲなどを観察し、ミクリが生育している池に寄った後、吉田橋バス停方面に向かいました。途中で、最近少なくなったノニガナを見つけた方もありました。
余野川に架かる吉田橋を渡り、さらに農道の植物を観察しながら、東山バス停へ向かいました。吉田橋の上からクサソテツが観察できました。途中で、キケマン、オオバクサフジなども見られました。最後に、竹林の周りに生育しているコウモリカズラと開花中のホウチャクソウなどを観察し、終わりのあいさつの後、ここで解散となりました。
晴天に恵まれた爽やかな1日、たくさんの植物が観察されました。お世話をいただいた谷本さんをはじめ、地元の方々にお礼申し上げます。本日の参加者は58名でした。 (本文 ・写真 山住一郎)